「ねぇ、知ってる?
初めて二人で話をしたあの日から、今日でちょうど一年経ったの。」
まるで返事を待つようにあたしは問い掛ける。
――そう、あの日。
一年前、香苗がそうくんの携帯を見て二人は喧嘩した。
それを相談されたあたしは落ち込みながら街を歩いていたら
偶然にもそうくんに会って。
小さな喫茶店で
初めて二人きり、言葉を交わしたの。
香苗との事で悩んでたそうくんの話を聞いて
その帰り
二人で携帯番号を交換したよね。
嬉しくて
だけど切なくて。
それでも
繋がってるという事が幸せで。
隠れてメールを交わすあたし達は
二人だけの秘密を持ち合わせていた。
もう、あれから一年。