それから3日後
香苗は無事に退院した。


あたしは暇さえあれば
毎日のように香苗の病室に通って。



退院の日、大きな花束を渡したら
『ありがとう。』
そう言って香苗はうっすらと涙を浮かべた。


もらい泣きしたあたしに二人で

『何だかあたし達、涙脆くなっちゃったね。』
と笑い合った。







――――…



「おはよぉ!海音!」

「おはよ。香織。」


まだ少し暑さが残る9月の日差し。

長い夏休みは終わりを告げて
再び新学期が始まった。


久し振りの再会に
クラスのみんなは
夏休みの話に花を咲かせてる。


見慣れた教室。
窓の外の景色。



なのにそれすら寂しく感じるのは
あまりにも時間の経過が早すぎて
心が未来に追い付けないから。



卒業は、もう目の前まで迫っていた。