まどろみの中
微かな日差しがあたし達二人を照らし出す。
長い沈黙が続いて
香苗はゆっくりと
そして小さな声で話し始めた。
「あたし、本当は知ってたの。ずっと…。」
「…知って…た…?」
その言葉に疑問だらけのあたしは
香苗の伏せた視線に次の言葉を待つ。
廊下から
子供のはしゃぎ声が聞こえた。
静まる病室は
ここだけがまるで
時間が止まってしまったように感じて。
長い長い静寂に
香苗の悲しい視線がぶつかった。
「海音がね、そうちゃんの事……。
好きだって知ってたの。」
「え………?」
知ってた……?
ずっと、あたしの気持ちを…?
ここ最近
色んな事がありすぎて
あたしの思考はすぐに混乱してしまう。
香苗のその言葉も
今のあたしにはさっぱり理解出来ない。