「…ん……。」

眩しい光が
あたしを現実に引き寄せた。



昨日、一晩中
香苗の手を握り締めていたあたしは

泣き疲れてそのまま眠ってしまったらしい。



まだ働かない頭で
あたしはベッドへと視線を送る。


「……香苗…?」


そこに香苗の姿はなかった。






「起きた?」


ふいに聞こえた
懐かしい声。




「もー海音泣きすぎ。布団びしょ濡れなんだもん。」


クスクスと笑う香苗に
あたしは何も言えず呆然としてしまった。




「香…苗……。」

「…ごめんね、心配かけちゃって。」

「香苗…っ!!」




優しく笑う香苗は
あの頃と同じで。



「もぉ。泣き虫。」


抱き付くあたしを
香苗はお母さんのように頭を撫でてくれた。



夢じゃない。



これは、夢じゃないんだよね?