だけど祈りは届かなかった。
「……これ…。」
病院に着いたあたしに
警察が差し出した
免許証。
「轢かれた男性の財布から抜き出しました。」
それは
確かにそうくんで。
「トラックの運転手の居眠りが原因です。」
淡々と話す警察に
頭の中が真っ白になった。
誰か
これが夢だと
あたしに言って下さい。
何でもするから。
だから、あたしを
早く、覚まして。
愕然とするあたしの視界に
手術室のランプが消えて扉が開いた。
そして担架に乗せられた人を
看護婦さんがガラガラと運び出す。
「……そう…くん…?」
涙がこぼれた。
「そうくんっっ!!」