タクシーを降りて着いた海岸には
まばらなサーファーの姿と
数少ない遊泳客だけで。
あたしは辺りを見渡しながら海岸を歩く。
砂浜に足を取られながら歩みを進めるあたしは
一件の小さな海の家に辿り着いた。
「いらっしゃい!」
笑顔で迎えてくれる店主に
あたしは駆け出して
「すいません、昨日バイクに乗った背の高い男の人見掛けませんでしたか!?」
と詰め寄った。
そんなあたしに
困ったような表情をした店主が呟いた。
「…背の高い?そんなのいっぱい居てわからないよ。」
「…そうですか…。」
「何、どうしたの?」
店主の言葉に肩を落としたあたしに
背後から聞こえた声。
「何か人探してるみたいだよ。」
と店主が受け答えする。