んもぉ。
こんな時に……。
うるさく鳴り続ける携帯に
あたしは重たい体を起こした。
「……香織?」
着信は香織だった。
どうしたんだろ…。
不思議に思いつつ
あたしは通話ボタンに手を掛けた。
「もしもし。」
『もしもし?海音?』
相変わらず元気な香織の声色。
あたしも自然に顔が緩んでしまう。
『お誕生日おめでと!』
「……え…?」
思いがけない香織の言葉に
あたしは慌ててカレンダーに視線を向けた。
8月28日。
あたしの誕生日。
『何その反応!
もしかして自分の誕生日忘れてた?』
アハハと笑う香織に
あたしは頭を掻いた。
そうだ。
今日、あたし誕生日だったんだ…。