夏の太陽が
ジリジリと地上を焦がしてゆく。
蝉の声が鳴き止んで
夏の終わりに
あなたの声を聞いた。
『海音。』
波よりも優しく
あたしに響く。
閉じた瞼に
浮かぶあなたの笑顔。
どうか消えないで。
ずっと、あたしに焼き付けて。
――――……
「海音、今日お母さん遅くなるから。」
「わかった。行ってらっしゃい。」
遠ざかるお母さんの背中に
小さく手を振った。
リビンクに響くテレビのアナウンサーは
『今年の夏は記録的猛暑だ』と騒ぎ立てる。
家に自分一人なのをいい事に
あたしは大きな溜め息をついた。
「…昼寝でもしよっかなぁ。」