香織の言葉に
あたしと雅美も足を止める。
「何~どうしたの?」
雅美が香織の肩に飛び付いて覗き込んだ。
そしておもむろに香織が口を開いた。
「……あれ、香苗じゃない?」
え―――…?
ドクンと心臓が跳ねる。
香織が指を差した先には
「香苗……。」
確かに香苗が居た。
人込みに紛れ
見え隠れする懐かしい香苗の横顔。
そして―――…
「…隣、彼氏かな?」
「あたし、香苗の彼氏初めて見たかも。」
隣には
当たり前のようにそうくんが居て。
前から向かってくる二人に
あたしは一歩も動けなかった。
心が
痛い。