赤信号になった横断歩道に
足を止めた大輔は
静かに振り返った。
「ちゃんと話したかったんだ。だけど、頭ん中ぐちゃぐちゃで…。」
「……うん。」
ぶつかった視線。
それは悲しみを帯びていて。
「あんな別れ方、したくなかったのに…。」
「…大輔…。」
止まっていた人々が歩き出す。
立ち止まったままのあたし達の横を
人々の群れが通り過ぎて行った。
「……やっぱり俺、お前じゃなきゃダメなんだよ…。」
揺れる瞳が
あたしを捕らえて
気が付いた。
放課後、あたしに告白してくれた彼。
あの告白を断れなかったのは
顔を真っ赤にした彼が
大輔に似ていたからだ。