煙草を灰皿に押し付けた浦吉は
「悪いな…。力になれなくて……。」
と悲しそうに笑った。
「……ううん…。」
あたし、ちゃんと知ってるよ。
浦吉が毎日のように
香苗の家を訪ねてたの
ちゃんと知ってる。
だから、大丈夫。
「…ありがとね、浦吉。」
「……おぅ。」
浦吉は
最高の教師だよ。
最高の、あたしの担任。
ありがとう。
「熱……」
生徒指導室をあとにして昇降口から外に出たあたしは
灼熱の太陽を見上げる。
それから何日かして
香苗は学校を正式に退学した。
何も出来なかった自分が情けない。
香苗は
今、どうしているのだろう。