浦吉の後を付いて
生徒指導室に足を踏み入れる。
微かに香る煙草の匂い。
「浦吉煙草止めないの?」
つい先日
浦吉は奥さんが妊娠したとクラスのみんなに報告してくれた。
「家では吸わないようにしてるよ。」
そう言って煙草に火を付ける。
あたしに気を遣ってか
窓を開けた浦吉は
「田村の事なんだが…。」
と話を切り出した。
やっぱり
香苗の事か……。
「学校、来ないって?」
言い出しにくそうに窓の外を見つめる浦吉に
あたしは椅子に腰を掛けた。
「……何度か話したんだが、学校は辞めるとしか言わないんだ。」
吐き出した煙と共に落ちる溜め息。
一年、二年と何回か欠席をしていた香苗は
もう出席日数が足りないらしい。
「どの道、もう留年決定だ。」
「……そっか…。」