『海音っぽい』か……
二人の言葉に
あたしは空を仰ぎ見た。
蒼い空。
これは
あたしの支えなんだ。
気持ちが通じ合ったあの日
交換したお互いの香水。
さよならを交わしてから
潰れてしまいそうな心を何とか保ってくれているのは
この香りが
いつも傍にあるから。
そうくんがくれた香水がなくなってしまうのが悲しくて
わざわざ新しいのを買いに行って。
きっと
これからどんなにいい香水があっても
これ以外の香水は
つけられないと思う。
「よし、登録完了!」
雅美はパタンと携帯を閉じて
再び中華丼を口に運ぶ。
「でもよかったね、携帯復活して!」
「……別にいらないんだけどね。お母さんがうるさくて。」
溜め息混じりにそう呟いて
あたしも中華丼を口にする。