自分でも驚く程の出来栄えで
あたしはほっと胸を撫で下ろした。





そうくんに最後に会ったあの日から
あたしは無我夢中で机に向かっていた。


それは別に成績を上げたいとか
自分のやりたい事が見つかったとか
そうゆう事じゃない。


何かに集中しなきゃ
吹っ切れる気がしなかったんだ。







だけど―――…



「ねぇ、香水変えた?」



テスト返却が終わり
昼休み、香織が口を開いた。

食堂までに続く渡り廊下に
少しだけ夏の匂いが混ってる。



「あぁ……。うん。気分転換にね。」

「やっぱぁ!?そうかなぁと思ってたんだよね~!」



相変わらずテンションの高い香織。
そして隣に歩く雅美が続けて言った。



「今の香水の方が海音っぽくて好きだなぁ、あたし!」

「だよね、香織もそう思う!」