冷たくなったお互いの指先は


何かを求めるように
自然に重なった。





「海音……。


これだけは覚えていて欲しいんだ…。」


「…何?」





力強い腕で引き寄せられたあたしの肩は
すっぽりとそうくんに包まれて。





「……好きだ…。


本当に…。好きだった。」



震えるそうくんの肩に
もう二度と
この腕で抱き締めてもらえないんだと理解する。





そうくんの背中に腕を回したあたしは


「……あたしも、好き。


大好きだったよ…?」

と呟いて瞼を閉じた。





「海音……。」

悲しく揺れるそうくんの瞳に
あたしの視線がぶつかった。


そうくんがあたしの頬に触れる。




そして―――…



「……愛してるよ…。」


その言葉に続いて


さよならの代わりに
あたしの唇に落とされた

切なくて
優しいキス。






さようなら。


そうくん―――…