沈黙があたしとそうくんを包んでいる。
すっかり湯冷めした体は
あたしを冷静にさせた。
「……そうくんの気持ちはわかった。」
「…海音…。」
「よかった。そうくんの口から聞けて。」
そう。
あたしは裏切られた訳じゃなかった。
あたしが大輔に別れを告げなきゃいけなかったように
そうくんも香苗の傍に居なきゃいけないんだ。
あたし達は
こうする事でしか
この恋を守れない。
「ありがとう、話してくれて。」
そうくんに微笑むと
さっきまで空っぽだった心が
二人の共有する思い出で埋まっていった。
「……海音…。」
あなたとの
少ないけれど
深い深い思い出が
きっとこれからのあたしを支えてくれる。
もう、大丈夫。