夜の闇に消える涙。




降りしきる雨に打たれて


一人ぼっちのこの夜に
溶けてしまいたいの。





あの人を想って。










「海音っっ!!」










車のブレーキ音。


跳ね上がる水飛沫。





そして
重なり合う鼓動―――…







温かいぬくもりがあたしを包んでた。




記憶の隅に残る残像。





「……そう…くん…?」


雨に濡れた肩が微かに震えてる。








「…何…してんだよ…。」


掠れた声は


雨に濡れた体に心地よく響いて。





「何してんだよっ!!」


それと同時に


強まる腕の力。







抱き締めて欲しかった。



ずっと


その腕の中へ
何も考えずに
飛び込んでいけたらと。





「海音……っ。」



そう、あなたのその声で



ただ、抱き締めてもらいたかった。