このまま
死んだって構わない。
本気でそう思った。
今のあたしを
誰が必要としてるのだろうか。
傘を持つ手がぶらんと力を失う。
顔に当たる雨は
痛い程にあたしを打ち付けた。
水溜まりに
足が取られる。
車のライトがあたしの目の前を通り過ぎた。
『海音が好きなんだ――…』
そうくんの声がする。
好きだった。
本当に
本当に大好きで。
…どうしようもなかったの。
欲しくて欲しくて
あの残酷な程
優しい腕で
力強く、抱き締めてもらいたかったんだ。
一筋の涙が頬を伝った。
光が世界を包んで
耳を引き裂くような車のクラクション。
さようなら。
本当に
大好きでした――…