だからもう一度
よく考えて、それでも辞めたいなら仕方ない。
そう香苗に言ったんだと話す浦吉。
浦吉の背中に
教師としての責任が垣間見えた気がした。
「まぁ、田村の事は俺から話してみるから。お前は気にせず学校に来い。な?」
「……わかった。」
浦吉に背中を押されて
あたしは生徒指導室をあとにする。
それでもやっぱり
心のつっかえは消えなくて。
あたしがどうにか出来る訳じゃないのに
意味もなく考えてしまうんだ。
香苗の隣には
そうくんが居る。
そう考えただけで
心が潰れてしまいそうだった。
救いの手を
誰かに求めずにはいられなくて。
だけどあたしは立ち止まったまま
やっぱりあの人に心が揺れていた。