辺りを気にしながらも
香織が話を始めた。


「言いにくいんだけどさ…。


…海音が香苗の彼氏寝取って、妊娠したって…。」


…え?

「そんな噂……。」


戸惑いを隠せないあたしに雅美が
「噂だからさ、わかんないけど香苗もずっと休んでるし…。」

そう言って香織と顔を見合わせる。



「香苗、学校来てないの!?」

「…うん…。先週の月曜日からだったかな…。」


先週の月曜日…。
あたしがそうくんと
一緒に居たのを見られた次の日だ。




「海音も来なかったから噂もどんどん広まってっちゃって…。」

「でもやっぱ具合悪いだけだったんだね!こうして登校してるし!」



雅美と香織は安心したようにあたしに笑い掛ける。



「噂なんか気にしな……海音!?」


話の途中
あたしは二人を残して階段を掛け降りた。