「階段から落ちたのはあたしのせいじゃない。そう言いたかったんでしょ?」
「香苗……。」
消えかけた電灯がパチパチと音を立てる。
「だから、あたし悪いなんて思ってない。足を滑らせたのは海音。
そうでしょ?」
確かに、香苗の言葉に間違いはない。
だけど………。
「…香苗、どうしちゃったの…?」
それはまるであたしの知ってる香苗じゃなくて
「……やっぱり…怒ってる…の…?」
途切れる意識を懸命に言葉にぶつけた。
「怒ってる?」
香苗があたしに視線を向ける。
「当たり前じゃない。階段から落ちたくらいで被害者ぶらないでよ。」
「…っ違う!あたしそんな事…!」
「何が違うの?これ見よがしに会いに来て。」