さっきまで穏やかだったムードは
一変して重苦しい雰囲気に包まれた。
「高校生の分際で妊娠して流産だと!?」
「お父さん!止めて下さいっ!」
お母さんは必死にお父さんの体をベッドから離そうとする。
だけどお父さんの怒りは収まらない。
「親があげた体を粗末にしやがって!!」
「沖村さん!?落ち着いて下さい!」
騒ぎを聞き付けた看護婦さんが病室へと駆け付けた。
あたしはただ、黙っているしか出来なかった。
だって……
「どれだけ心配したと思って……っ!」
お父さんが
泣いていたから――…
「あなた…。」
お母さんが驚いた様子で力を緩める。
静まり返った病室を
スーツで顔を隠したお父さんが
ゆっくりと扉を閉めて出て行ってしまった。