見上げた夜空に
小さな星が浮かんでた。
光は誰にでも平等に
夜を優しくしてくれる。
手を伸ばしても届くはずなんかないのに。
それでも、消えないで欲しいと思う。
この夜は
あの星たちは
あたしを優しく見下してくれるから。
――――…
「…!……音!
海音!」
夜空がふっと意識から抜けて
まだ空ろな頭であたしは瞼を細く開いた。
「海音!目覚めた?」
「……お母…さん…?」
真っ白な空間に
お母さんが涙ぐんだ顔であたしを見つめてた。
あれ…?あたし……。
ゆっくりと戻る意識に
あたしはぼんやりと天井を見つめる。
段々冴えていく感覚に
ふいに蘇る記憶。
赤ちゃんは…?