香苗は今までの彼氏に散々浮気をされていた。
それはもう
ありえないくらいに。
「でも何もなかったんでしょ?」
あたしの言葉に頷いた香苗は
また涙をこぼした。
そうくんは浮気なんてしない。
そんなバカらしい事するような人じゃない。
実際そうくんの携帯には
女の影すらなかった。
「だけど……見てる時に…ちょうど…。」
「部屋に戻って来ちゃったの?」
こくんと頷いた香苗に
あたしは小さく溜め息をついた。
正直、香苗の気持ちもわからなくはない。
だけどきっと本来言わなくちゃいけない事
それをきっと香苗は言わなかったのだ。