今まで何度か
香苗とそうくんは喧嘩してた。
だけどそれは
香苗が一方的に怒ってるだけで
そうくん本人は
全く喧嘩してるなんて思ってない。
そうくんが怒るなんて
とてもじゃないけど想像出来なかった。
「携帯をね……見たの。」
「携帯?そうくんの?」
教室のベランダに座り込み
香苗は泣きながら静かに話し出した。
「どうしても気になって…そうちゃんはそんな事しない。
わかってるのにどうしても…気になっちゃって……。」
「……で、勝手に見ちゃったんだ。」
グラウンドに
サッカー部がストレッチしていた。
ガランとした静かな教室には
もうクラスメートは人一人居なかった。