静かな部屋に
あたしは大輔を起こさないよう服を着た。
どうしてあたしは
服を着てる?
あたしはこれから
どこに行こうとしてる?
だけど無意識に体が動いてて。
行く先は
わかりきってた。
『ごめん、今日は家帰るね。』
そう書いた紙切れを
テーブルに置いて大輔に視線を向ける。
暗闇で慣れたあたしの瞳が
寝息を立てる大輔を捕らえた。
ごめん。
ごめんね、大輔。
もう裏切らない。
不安にさせない。
そう、誓ったのに…
ぎゅっとバックを握り
あたしは音を立てないように部屋を出た。
静まり返った大輔の家は隅々までわかりきっていて
あたしは難なく玄関まで辿り着けた。
これから
あたしの未来は
どうなるのか
想像も出来なかった。