大輔の瞳に
もうあの時のような不安の色はなかった。
きっと
こうして何度も肌を重ねる事で
大輔の不安は消える。
それなら
こんな体、どうなってもよかった。
あたしはもう
誰も傷付けたくない。
「そう言えば……。」
「ん…?」
事を終えた大輔が
あたしの頭を撫でながら呟いた。
「海の音がした。」
「え……?」
海の音…?
何の事を言ってるのかわからないあたしに大輔が続ける。
「さっきの電話だよ。何も話さなかったけど、波みたいな…海の音がしてた。」
海の音。
それは
あたしが今一番、聞きたくない波の音―…