香苗はここ最近体育の授業を休んでた。
『着替えてる時、見えちゃうから。』
そう言って包帯の巻かれた腕をセーターで隠す。
そんな香苗は
携帯の画面を見つめて
『連絡来ないの。』
悲しく瞳を揺らした。
靄がかかったあたしの心は
迷子のように彷徨っている。
もう終わりにしよう。
こんなデタラメな恋に
未来はない。
だけど唇は
確かにあの日の感触を覚えていて。
どうしてだろ。
あたしはどうして
こんなにも汚いのかな。
香苗の傷付いた心の痛みを
十分すぎるくらい
わかっているのに…
大輔の真っ直ぐで
揺るぎない想いの深さを
これ以上ないくらいに
感じているのに…
何であたしの心は
あてもない海底を
彷徨っているのだろう。