―――…


とても小さな頃。

まだ腰は曲がってなくて糖尿病を患ってなかった元気なおばあちゃんが
話してくれた事がある。




『海音のお母さんとお父さんは前世でも恋人同士だったのよ。』
と。


″前世″という言葉に聞き覚えのなかったあたしは
おばあちゃんを見上げて首を傾げた。




『いいかい、海音。本当に好きだと思える人に出会ったら、それは前世でも海音が愛した人なの。』

言葉の意味を理解出来ないまま
あたしはおばあちゃんの声に耳を傾けた。




『だからもし、そんな人に出会ったのなら。絶対にその手を離すんじゃないよ。』

『…わかった!』





遠い

遠い
おばあちゃんの昔話。