『好きなんだ――…。』
一月は寒い。
いつまでも
温かい毛布に包まれていたい。
そう思うのはあたしだけじゃないはずだ。
「海音、いつまで寝てるの?遅刻するわよ?」
「今、起きようとしたとこだよ。」
わざわざ部屋を覗くお母さんに
刺々しく言い放ったあたしは
渋々布団から這い上がった。
寒……っ。
あまりの寒さに
あたしはカーテンを開けてみた。
「今日一日雨だって。寒いから、温かくして行きなさいよ?」
「わかったってば。着替えるから出てって。」
あたしの言葉に
お母さんは少しだけ溜め息をはいて出て行った。
手のかかる娘に
お母さんの苦労が目に見える。
今日は
進路について
担任の浦吉が一人一人面談するらしい。
憂鬱さが
降りしきる雨と共に流れ落ちた。