その日
あたしは香苗の家で夜を明かした。
所謂、お泊まり。
一緒に居てあげたかったんだ。
あたしが居る事で
少しでも香苗の寂しさが埋まればいい。
それが、親友に出来るあたしの役目。
香苗が淋しがり屋になった原因は
きっとこの家庭せい。
小さなアパートには
香苗の求めた愛情はなかった。
小さい頃に離婚をした香苗の両親。
香苗はお母さんと二人、このアパートで暮らしてる。
だけどここに
お母さんの気配はない。
香苗を育てる為に
朝から晩まで働くお母さんは
ほとんど会社で寝泊まりするそうだ。
二週間に一回くらいしか帰らない母親。
香苗は、
両親の愛を知らない。