「海音…。」
泣きじゃくるあたしの肩を
そっと持ち上げた香苗。
「ありがと。もうしないよ。…絶対、しない。海音に誓う。」
「香苗……。」
「だから、もう泣かないで…。ね…?」
子供を諭すような香苗のふんわりした声。
慰めるのはあたしの方なのに
香苗は優しく抱き締めながらあたしの背中を叩く。
まるでお母さんが子供をあやすように。
香苗。
ごめんね。
本当にごめんなさい。
「海音って泣き虫だったんだね。」
「な…によぉ!泣かせたのは香苗でしょ!」
ムキになるあたしに
香苗が高い声をあげて笑った。
うん。
やっぱり、香苗には笑顔が似合うよ。
その笑顔は出会ったあの時のようで。
『あたし、田村香苗。』
すごく
可愛いと思った。