淡々と話す香苗に
あたしは疑問を覚えた。
ここに居るのは
本当に香苗……?
「だけど高校になってから切ってないよ。」
そりゃそうだ。
だってあたしは香苗のこんな手首見た事ない。
「久し振りだったから…加減、利かなくて。」
ぎゅっと左手首を隠すように
香苗が右手に力を込めた。
「香苗。」
あたしは香苗の手に自分の手を重ねた。
「お願い。もう二度としないで。
自分、傷付けたりしないでよ……。」
こぼれた涙に
あたしはわかった事がある。
あたしは香苗が大切。
すごく
すごく大切なんだ。
だから――…
「寂しいなら…あたしの事、頼ってよ…。側に居る。
香苗の側に居るから…。」
涙は
止まる事はなかった。