First Love 〜番外編〜

でも、真梨愛が幸せならいいんだ。

心から笑ってんなら

もう、泣いてないなら

オレは……。

直接「幸せになれよ」なんて絶対言ってやんねぇ。

どれだけオレが真梨愛を思っているか。

初めて惚れたやつなんだ。

ずっと小さい頃から真梨愛が好きだったんだ。

真梨愛に好きな奴が現れたって簡単には消えねぇんだこの思いは。
だけどよ、やっぱりオレはいい奴だから幼なじみでいてやるよ。(笑)

真梨愛のために。

これからも一番に真梨愛のことを理解している幼なじみに。




それじゃあ幼なじみとしていい仕事をしてやるよ。(笑)


飛行機の中で静かに眠りに落ちる。




今までに誰か一人だけを
好きになったことなんて
一度もなかった。

女の子はみんな大好き。

柔らかくて、いい匂いがして

母親を思い出せるから。

だけどそれ以上は求めない。





ただ君だけは

俺に本気の恋を教えてくれた。

俺、桜井ヒロト。

家は裕福だし

顔は父さんに似ててカッコイイから

お金と女の子には困った事がない。

俺にはもうとっくに母さんはいない。

小さい頃に病気で死んだ。

本当に小さい頃だったからあんま覚えてないけど
ただ無意識に温もりを求めてしまう。
だから、一日に別の女の子の所に行くのは当たり前。

今までに何人とも一夜を過ごして来た。

ただ虚しさや寂しさを埋めるために。

いつからだろうか?

笑顔を作るようになったのは。

女の子に母親の面影を求めるようになったのは。

君は俺の唯一の幼なじみの初めて好きになった人の
親友だった。

そして、俺に寄ってくるそこら辺の女の子と
あまり変わらないぐらい派手で

俺と似たような家柄の立花グループの令嬢。



だけど、君は人一倍親友想いで

お嬢様なのに族の副総長で

【QUEEN】と呼ばれる人だった。
QUEEN。

あのVENUSの右腕で

いつもふざけているけど

いざとなったら誰よりもみんなの事を考えてる人。

だからかもしれない。

興味を持ったのは。



そして、母さんのおもかげを感じた。

俺の母さんは覚えてる限りは

いつも明るくて

いざとなったら叱ってくれて

誰よりも周りの人の事を考えてるような人だった。



そう。

まるで芽衣ちゃんのような。

俺は芽衣ちゃんと母さんを重ねているだけかもしれない。

ただ、きっとこのドキドキするような
胸の温かい気持ちを言葉にするなら

俺は……。

「ねぇ、ヒロト君。ぅちヒロト君の事好きだよ?」

『ふふ。俺も好きかもしれない。』

本気の恋も案外いいのかも知れない。

こんなにも誰か一人を想うのも悪くはない。