First Love 〜番外編〜

『私達は今日からBLACK ROSEよ。総長は私ね』

「んで、ぅちが副総長よ〜」

『みんなに守ってほしいことがあるの』

「なんっスか?」

『まず、ここにいる仲間を大切にしなさい。どんなことがあっても見捨てないこと。それから卑怯なマネはしない。これだけよ』

「「「「はいっ」」」

『うん。じゃあみんなこれからよろしく。』

「「「よろしくっス」」」




こうして、いずれ全国NO.1になる族が誕生した。
私にも出来たんだ。

私自身を見てくれる人が。

大切な居場所が。

守りたい仲間が。

世間でどんなふうに思われようと、
どんなふうに言われようと

私はただ、助けたいだけ。

見捨てられ、自分の存在が分からなくなった人達を。

教えてあげたいだけ。

暖かい居場所があるって。

一人じゃないんだって。






今や伝説となっている総長がいた。

仲間のために戦い、

卑怯な奴らを潰し、

どんな奴でも助ける。

そして、戦う姿が華麗で

美しい容姿をもった





【VENUS】



俺らは全国NO.1の族
BLACK ROSEに入っている。

俺らの総長はこの世界では伝説となっている。

はんぱなく強くて

優しい心を持ち

意志が強く

まるで女神のような人。
俺らが、総長と出会ったのはもう三年前。

あの頃は、大人が嫌で
意味もなく荒れていた。

学校のセンコーだって俺らを見るなりクズだの学校の面汚しだの言ってきやがる。

親にも飽きれ見放された。

だから、反発してやるって毎日喧嘩三昧。

その時だった。

総長に会ったのは。
相手が気絶していてもなお殴り続ける俺の手を止め

『虚しくないの?』

「うっせぇよ。関係ねぇだろ」

そう言って捕まれている手を振り払い、殴りかかる。

女は俺の拳を軽々避け、俺に蹴りを入れる。

その姿があまりにも綺麗で見とれていた。

途端に世界が反転する。

俺、倒れたのか?

上を見上げるとさっきの女が立っていた。
『ねぇあなた。私と一緒にこない?』

そう言って微笑みながら手を差し延べてくれた。

初めてだった。

俺に笑って手を差し延べてくれた奴は。

本当は、喧嘩をしたって虚しいことぐらい気付いてた。

気付いていながら喧嘩をやめなかった。

俺の居場所さえ無くなりそうで。

すると、その女は俺の心を読んだみたいに

『あなたに暖かい居場所を作ってあげるわ』

俺は迷わずその手を掴んだ。
女に連れてこられたのは大きな倉庫みたいなところ。

『さあ、中に入って。ここが今からあなたの居場所よ』

なにか旗が掲げてある。

「BLACK ROSE?」

『そう。私この族の総長をしてるの。』

「えっ?」

「あっ、お疲れ様っス」

「総長お帰りっス」

「後ろの奴は新入りですかー?」

いろんな奴らが声をかける。

『みんなただいま。そうよ。彼、直って言うの。』

「…よろしく」

「「「おう。よろしく」」

『直は今日から私達の仲間よ』

それから、何日かたって分かったことがある。

ここの奴らは俺みたいに世間から見捨てられ毎日意味のない喧嘩ばっかしてた時に総長に声をかけられたんだ。

居場所を作ってやるって。


俺達はあなたに出会えてよかった。

マジで感謝してもしきれねぇぐらいだ。