お昼休みの教務室は普段よりがやがやしていた。
えー、と。翔先生はーっと…。
「おっ!神山、来たか!!」
「ぅわっ?!」
キョロキョロと先生をさがしていると、後ろからいきなり声をかけられ驚いて声を上げた。
振り返ると、久しぶりに会う翔先生の姿が。
「か、翔先生…!!驚かせないでくださいよ!!」
「おー、悪いなァ!!」
悪怯れもなくそう言った翔先生はいつもどおり笑顔だった。
先生はまだ若いほうなのに、選手の育成指導の腕を買われて今年から陸上部顧問になった。
厳しいけど、おもしろい先生で多分学校じゃ有名だと思う。
あと、イケメンだしね!!
「わさわざ、来てもらって悪かったな。…じゃあ、とりあえずここ出よう。」
先生はそう言って、私に教務室を出るように促した。
教務室からでて、私はすぐ先生に問いかけた。
「先生…。話、とは何ですか?」
先生はさっきの笑顔をなくして、真剣な表情に変わった。
「少し聞きたいことがあったんだ。最近、忙しくて遅くなってしまったけどな。」
翔先生はそう言って、はぁーっと一つため息をついた。
そして、私を呆れたような笑顔で見てきた。
「唯璃。そんな怖い顔するな。」
「ぅえっ?!!」
いきなりそんなことを言われ、変な声をだしてしまった。
こ、怖い顔?!
私、今してたの!!?
驚いて、自分の顔に手をやった。
ってゆうか、私前もこんなことあったような……?
「…私、今してました?」
笑いを堪えている翔先生にそう尋ねた。
「あぁ。怖い顔だった。」
そう言われ、なんだか恥ずかしくなって少し横をむいた。