「…ありがと…っ!!」
思わず顔がニヤけた。
「ん、どういたしまして。」
「ひなちゃんは、私にとって憧れだよ。」
さっきの心に小さな穴が開いたような気分はいつのまにか楽になっていて。
改めて、ひなちゃんはすごいなって思った。
「本当?ありがと。」
ひなちゃんは、クスッと小さく笑うとお弁当を食べることを再開した。
私もニヤけてしまった顔を隠すように食べることを再開した。
──────・・・
「「ごちそうさまー。」」
2人とも同時に言ってしまい、顔を見合わせてプッと笑ってしまった。
教室の時計を見上げると、あまり時間がないことに気付いた。
「やば…っ!!」
急いで広げていたお弁当を鞄にしまい、席を立つ。
「ひなちゃん、私行くね!!」
「うん、いってらっしゃい。」
「じゃあ、行ってきまーす。」
ひらひらと手を振ったひなちゃんにそう言い残し、教室を後にした。
今日は…、屋上に行けるかな…。
教務室にむかっている間、携帯でもう一度時間を確認してそんなことを思った。
知らせとくべき…?
いや、そこまで…、ねぇ?
あーっ、でも……!!
そんなことを悶々と考えているといつのまにか教務室に着いていた。
「………、着いちゃった…。」
そう小さく呟いた。
きっと、考えたくなかったんだと思う。翔先生の話の内容を。
だから、教務室にむかっているのに違うことを考えてた。
───何の…、話かな…。
ここにずっといるわけにもいかず、ふぅーっと息を吐いてドアに手をかけた。
「…失礼します…。」