キーンコーンカーンコーン…───


チャイムが鳴り、授業が終わって、皆がそれぞれお昼休みに入る。


席に座ったままの私をとりのこすように、教室はがやがやし始めた。



「唯璃、お昼。」

「わぁっ!!」


気配もなくいきなり後ろからかけられた言葉に、驚いて声を上げた。


「何驚いてんの。食べるよ。」


そう言って、後ろからひょこっと顔をだしたのはひなちゃん。


「ひ、ひなちゃん…。もうっ、驚かせないでよ〜!!







───ってもう食べてるし?!」


「む?」


お弁当をだしながら、文句を言っているといつのまにかひなちゃんはお弁当を食べていた。



しかも、『む?』って可愛いな!!
このやろーっ!!!


そんなことを思いながら、私もお弁当を食べ始めると目の前から視線を感じた。



「ひなちゃん、どうかした?」

箸をとめて私をじっと見ている、ひなちゃんにそう問いかけた。



「んー…唯璃はすごいなぁって。今、ものすごく感じたから。」


ガン見してた、と言ってひなちゃんは視線をお弁当に戻した。



「……っ。」



「…私は、そこらへんにいる人より唯璃はすごいと思うよ。」


私が何も言えないで固まっていると、ひなちゃんが少し視線を上げてそう付け足した。







───すごくなんかない。


全然……、すごくなんかないよ。


だけど、なんだろう。





昔とは違う意味ですごいと言われて、なんかとっても嬉しい。


ひなちゃんがどんな意味で言ったのか私には分からないけど。






こそばゆくて温かくて嬉しい…。