ありがと。
ありがとう。
「あああ。ありっがとう。」
「ばーか。噛み過ぎ。」
ん?
悴の声が響いたような。
でも、ココは放送室。
響く訳・・・・・・・
ないよなぁ。
響くどころか防音でしょ。
「ねぇ。そこスイッチはいってる。」
悴に言われて見た時に一気に血の気が引いた。
なんと、さっき私が押しちゃったスイッチはマイクのスイッチらしく、
さっきまでのやり取りが全校放送なってたらしい。
「全校生徒に聞こえちゃったね☆」
っておぉぉい!!!
イイのかい!!
先生達の足音もする。
そりゃあ、授業さぼっちゃってこんな事したら怒られるわな。
どうやって逃げようか考えたけど、何もなくて窓ぐらいしか・・・・・・。
ココは2階。
飛び降りるのも無理そうだし。
「行くぞ。」
悴はそうボソッと言って私の腕をつかんだ。
そして、窓からじゃなく、ドアから正面突破だった。
右から先生たちは来る。
そして悴は左に引っ張る。
どこに逃げるのか頭に入ってるのだろうか?
先生達は疲れて途中で追ってくるのをやめちゃった。
「上手くまけたな。」
「うん。」
そう言って悴は私の手と恋人つなぎをしてまた歩き始めた。
「校内デート(笑)」
って言って悴は笑ってる。
懐かしい。
この笑顔が見たかった。
この優しい手がほしかった。