大空の唄



蒼空の…話?


蒼空という言葉に心はドキンと高鳴った


「どんな話ですか?」


梨華さんが、蒼空の話…


もしかして蒼空が辞めた理由についてとか?


アイツは今どこで何してるのとか?


あたしはいろいろと空想を膨らませ
ドキドキと高鳴る鼓動を抑えるように
目の前にあるレモンスカッシュを一口
口に含んだ


しかし、梨華さんが発した言葉は
あたしの予想とは180度違うものだった


「蒼空のことは陽平と翔斗から聞いたんでしょ?」


えっ…


言葉が出なかった


「翔と陽のこと…ですか?」


「そう

翔斗から聞かれたの

絢音ちゃんに全部話していいか」


なぜ、翔と陽のことを梨華さんが知っているのか
聞きたいけど、驚きのあまり言葉にならなくて


あたしはただただ目を見開き梨華さんを見ることしかできない


「えっ、もしかして絢音ちゃん…

気付いてないの?」


気付いていない?


「何にですか?」


梨華さんは驚いたように目を見開いている


それはまるで、先ほどのあたしのように…


梨華さんは一つ大きく深呼吸すると静かに
そして強く言った


「あたしが、蒼空の姉だ…ってこと」