「アユの妹、凄いよね〜。本当に双子かよ…」
「……」
そう呆れた様に呟くのは唯一、あたしの事を理解してくれている親友の莉子(りこ)。
昼休みの休憩中、教室でパンを食べている途中、ふと廊下に視線を送るとアンが目に入った。
アンの隣には男が居て、2人で何かを話ながら通り過ぎて行った。
相変わらずの馬鹿。
そう心の中で呟くのも何回?何百回?何千回?…ううん、そんなの数えたって限りがない。
アンと歩いてた男は学年でもモテている男で、遊び人って言う噂の男だった。
アンが遊ばれているのか…男が遊ばれているのか…って事じやなく、きっとお互い寝るだけの玩具にしかない。
まぁ…あたしには関係ないんだけど。
廊下から視線を外し、机の上にあるiPodのイヤホンを左耳にだけ付け、それを押さえるかの様にして頬杖をついた。
「アユ…もう食べないの?」
半分も食べていないクリームパンに莉子は視線を落とし呟く。
「…うん」
呟くあたしに莉子はいつもながらに、そのパンに手を伸ばすと同時に視界の端に人影が見え、あたしは頬杖をついたまま視線を上げた。