Γごめん、忙しくって」
それは嘘じゃなく本当だ。毎日、疲れ果てた後、あたしはすぐに眠りについている。
Γまっ、なんか元気そうだからいいけどさ。…ってかもしかして寝てた?」
Γううん。今帰ってきた」
Γえっ、今!?もう0時過ぎてるじゃん」
Γうん、飲みに行ったりとね。ところで莉子、なんか用?こんな遅くに掛けてきて」
あたしは耳と肩に携帯を挟んで立ち上がり、手に持っていたペットボトルに蓋をし冷蔵庫に入れた。
Γあのね、あたし一応何回も何回も電話したの」
Γあ、そうなんだ」
Γそうなんだじゃないよ!!まったくもう!!」
莉子は本当にどうしようもないって感じで声を上げ、深くため息を吐き出した。
Γごめん、気付かなかった。で、何?」
そう言ったあたしに今度は電話口から莉子の笑い声が小さく聞こえてきた。その莉子の微笑んでる声を耳にしながら、あたしはもう一度ベッドに腰を下ろす。
Γねぇ、葉書見た?」
Γあー…うん、見たよ」
そう言ってあたしはさっき投げ捨てた葉書に目線を送る。
Γで、もちアユは来るでしょ?」
Γえ、あたし?」
Γうんうん」
Γつか、行くわけないじゃん」
そう言った瞬間、
Γはぁ!?」
またもや莉子のデカイ声で耳が痛くなった。頭に響く莉子の声。その声で一瞬にしてあたしは顔を顰めた。