ΓΓいらっしゃいませ」」
あたしの声と混じって店内を響かせて透き通る声。ザワザワと賑わう高級感溢れる店内。
色んな人達に笑顔を振りまき、人が求める物を差し出す業界。
それが今、あたしが唯一見つけた自分の居場所。
アパレル業――…
服は好きだからって事だけで始めた仕事。卒業して何の目的もなければ大学だって行かなかった。
何の取り得もなく来たこの地で見つけた業界。百貨店と言う高級感の中で働き初めてもう5年も経った。
その積み重なった努力で、あたしはいつの間にか店長になってた。
今、流行りの物を売る。決して子供じみた服じゃなければ年配の服でもない。
所謂、おねぇ系の服。18歳の時はさすがに戸惑った。ギャルに近いあたしが綺麗系を着こなすのは若干抵抗があった。
でも、もう5年も経てばあの時の若々しい面影なんてなく、いつの間にか綺麗系の服を着こなしてた。
だから、あたしはあの時の“アユ”なんかじゃないんだ。作り物の“アユ”じゃないんだ…
今、ここにいると自分が好きになれそうな気がする。