…に、しても大和ってこんな端正だったっけ?

ストローをくわえたまま思わずあたしは大和の顔を釘付けで見てしまっていた。

そんな自分に気付いたあたしは慌てて大和から視線を逸らす。


つい、見すぎてしまった。


Γ…ってば!!ねぇ、アユってば!!」


プツンと途切れた曲の後、弾けた莉子の声が耳に飛び込み思わずあたしの肩は飛び上がる。

莉子は開いているあたしの隣に腰を下ろし、その莉子の手にはついさっきまであたしの耳を塞いでいた物が掴まれている。


Γ…な、に?」


莉子の手元から視線を徐々に上げると、唇を尖らせた莉子があたしを見ていた。

目が合うと同時に莉子は深い深いため息を吐き捨てる。

それは“まったくもう!!”って感じの顔付き。


Γ何じゃないでしょー!さっきから呼んでるのにぃ…」

Γあ、ごめん。で、何?」

Γアユも何か歌いなよ」


そう言って莉子は曲目の雑誌をポンポンと軽く叩く。


Γだからあたしはいいって」

ΓiPodで曲聞いてんのに?ってか大和も寝てるしさ、本当に2人は何しに来てんだか…」


莉子は不機嫌ながらにもそう呟き唇を尖らせた。


Γ…ってか、莉子が居るだけでいいって言ったんじゃん」


莉子に対抗してあたしは言う。そんなあたしに莉子は薄ら笑い、


Γま、そうなんだけどね」


と開き直って、また俊の隣に腰を下ろした。