部屋に入ってすぐ、テーブルを真ん中に左右別れて大和と俊は座る。
その俊の横に莉子が座るから、あたしはと言うと必然的に大和の横になる。
大和の横は嫌じゃない。まぁ…嫌じゃないんだけど何故か落ち着かない時がある。
それって大和を意識してるからなんだろうか…とも思うけど、きっとそうじゃない。…と言い聞かせたい。
だって意識するだけ無駄だし…“アン”が居るだけに男なんて必要ないし、ただのクズなんだ。
とりあえずソファーに腰を下ろしたあたしはソファーに深く背を付け座り込んだ。
さっそく俊と莉子は曲目の本をペラペラと捲り初め、大和は備え付けの電話を片手にメニュー表を見て注目を告げる。
…あたしはと言うと、何もせず、ただその光景を眺めているだけ。
やっぱ…あたしって来た意味が全然ない…。
Γアユはメロンソーダでいいだろ?」
不意に聞こえた大和の声に視線を向けると、大和はあたしを見ながら隣に腰を下ろす。
Γあ、うん」
そう言ったあたしは大和を見てすぐ視線を莉子達に移した。