Γいや。っつーかアユちゃんって冷たい奴だよな。ほんっとお前達、双子かよ」
不貞腐れた様にも聞こえる男の声。
悪かったな…冷たい奴で。そう心ん中で呟きながら鞄の中からiPodを取り出した。
Γもぉ、アユなんてほっときなよ」
不機嫌にもとらえられる様な嫌味ったらしく聞こえるアンの声を耳にし、それを塞ぐようにあたしは出したばかりのiPodのイヤホンを耳に埋め込んだ。
邦楽、洋楽あたしは関係なく何でも聴く。ただ嫌な会話を耳に入れたくないだけにあって音楽を聴くようになったのが、今ではそれが当たり前の様にとなり、あたしに欠かせない物。
ただ、何かを聴いてると落ち着く…
昇降口から下駄箱へと向かい上履きを手に取った時、背後から誰かに頭を突かれた。
一瞬にして眉にシワが寄ったまま振り返ると、その先には口角を上げたまま薄ら微笑んでいる大和が居た。
Γ無視すんなー」
そう言いながらあたしのイヤホンを片方だけ外す。
その外されて下にブラブラと垂れ下がったイヤホンをあたしは握った。