桜舞う季節、実家のある岐阜に愛する雄二を残し、おいらは神奈川の大学に入った。

大学の入り口はとてもゆるやかな風が流れ、これから始まる学生生活をまるで応援してくれているみたいだった。

のは、最初だけ。

部活の勧誘のビラを配る、うるさい人の大軍が、おいらのささやかで乙女な妄想を打ち砕いた…


「空手部いかがっすかー!!」

空手売ってどうする??

「ね、君、部活入ってる?」
「部活決まられましたか??」


うるっせーーー!!!

どいつもこいつも、部活部活って、部活がそんなに大事かぁ?

おいらは、勉強しにきたんだよぉ!
歩くじゃますんなよぉ!

入学式会場に入るのも一苦労な状況である…

広々とした体育館、ひんやりと冷たいピンと張った空気、スリッパに履き替え、新入生と書かれた席に着く。

その席にも、「新入部員募集!」と書かれた勧誘のビラがどっさりと積まれていた。


…もうやめてくれ。

ビラの上に尻を乗せ、入学式が始まるのを待った。