「えっと・・・信さんは宏太とタメなんですか?」
「敬語じゃなくていいから。俺も宏太と一緒の24歳だよ」
「そうなんで・・・そうなんだ」
敬語を途中で変える瞬間も可愛い。
1つ1つの仕草が彼女は可愛いかった。
俺の心は彼女でいっぱいになっていった。
俺と彼女は時間が流れるごとに親しくなっていった。
それから3人で2時間ぐらい話をすると、終電の時間になっていた。
「そろそろ帰るか」
宏太がそう言うと、彼女と俺も立ち上がった。
外に出ると宏太は携帯を突いていた。
「ごめん。俺、彼女ん家行くから、ハルを頼むな」
宏太は早々と駅とは反対側の道を歩いて行った。
いきなり2人になり、緊張が増した。
「か、帰ろうか」
「あたし1人で大丈夫だよ」
彼女は苦笑いで言う。
彼女を見て少し切なくなる。
「あのさ、震えた体で言われても説得力ないから」
彼女の体は震えていた。
俺は彼女に近付くと頭を撫でた。
「ちゃんと怖いんなら怖いって言わなきゃ分からないよ?」
「信さん・・・一緒に帰って?」
彼女は涙を流しながら呟いた。
「うん。一緒に帰ろう」
彼女がここに来た理由・・・----。
それは痴漢に合ったからだ。
電車に乗っていて、酷い痴漢に合い、1人で帰れなくなってしまったからだ。
それを宏太から聞いた瞬間、痴漢をした奴を殴りたくなった。