『タイセツナヒト?』
『そうだ。お前が兄ちゃんぐらいでっかくなったら、きっと出会うから』
『・・・?わかった』
『よ―し。じゃあ、もう遅いから帰れ』
『うんっ!お兄ちゃん、ありがとう。じゃあねっ』
『おうっ』
男の子はあたしの前を笑顔で通って行った。
少し経つと、男性が公園の入口に向かっていると分かると、とっさに木の後ろに隠れた。
顔が気になったからだ。
隠れて顔を見ることにしたのだ。
入口から出て来た人を見た瞬間、なぜか胸が痛くなった。
一目惚れだった。
ずっと、男性の後ろ姿を見つめていた。
それから、その男性を学校中探した。
それが黒木圭だった。
――――――――・・・・
あたしの恋の始まりはこの公園から始まり、
そして、この公園で終わった。
圭の後ろ姿が見えなくなると、あたしは反対方向に足を向けた。
圭、頑張れ。
大好きだったよ・・・。