あたしが圭を好きになった始まりはこの公園だった。
・・・・―――――――――
あたしは公園の前を歩いていた。
すると、公園の中から子供の泣き声が聞こえた。
『うえーーーん』
どうしたんだろ?
中を覗くと、ブランコの横に男の子が泣いていた。
その男の子の隣りには男性がいて、
後ろ姿しか見えないから誰か分からなかったけど、同じ高校の制服を着ていたので、
高校生だということは分かった。
『泣くなって』
『うえーーーん』
『男がコケたぐらいで泣いてたらモテねーぞ』
『だって、痛いんだもんっ。うえーーーん』
『まいったな・・・』
男性1人で困っていたので、あたしは自分も男の子の元へ行こうと、
公園に入ろうとした瞬間、
子供の泣き声が止まった。
『うわー、カッコイイっ』
『だろ?これやるから、泣くのは止めろ』
『うんっ』
『よっしゃっ!じゃあ、はい』
『やった―!』
男の子が持っていたのはミニカーだった。
『もう泣くなよ?』
『うんっ』
『次に泣くときは、大切な人のために泣けよ?』
男性は男の子の頭を撫でながら優しく言った。